トピックス

2017.09.20

強制執行が容易になるか?その2

 強制執行の制度について、法制審議会が中間試案をとりまとめています。

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900332.html

中間試案では、金融機関から債務者の預貯金債権に関する情報を取得する制度、債務者の給与債権に関する情報(勤務先の名称及び所在地)を取得する制度が提示されています。

前にも書きましたが、強制執行するには対象となる財産のありかを、差し押さえる側が特定しなければなりません。

夫婦関係にあった2人が離婚するにあたって、未払いの金銭回収のために給与債権を差し押さえるということは可能だとしても、個人的つながりのない、例えば交通事故のような赤の他人同士のトラブルの場合、なかなか勤務先までは判明しません。

強制執行が確実にできる、回収できるという環境作りは、裁判制度そのものの信頼性に直結します。判決では勝てるだろうけど回収は難しい、そう説明せざるを得なかった事案はこれまで多くありました。本当に何も持っていない人から取ることはできませんが(これを手元不如意の抗弁と言ったりします)、支払えるのに上手に逃れている人がいる、という事態がなるべく減ることを期待します。

2017.08.16

【判例紹介】【離婚・男女】浮気の慰謝料、破産したら払わなくて良い?

 平成28年3月11日東京地裁

【事実関係】

H21.8 原告と夫が結婚

H25.12 原告夫と被告が親しくなり不貞。いわゆる浮気の関係に

H27.7 被告が破産

H27.9 被告が免責許可決定(債務を支払わなくて良いとする裁判)をうける

 原告は、原告夫と被告との浮気の関係により精神的苦痛を被ったとして損害賠償請求訴訟を提起。

 被告は、浮気を争うことはしなかったが、上記免責決定により慰謝料請求権についても免責されていると主張。

 他方、原告は、原告の被告に対する慰謝料請求権は、免責されることのない債権(非免責債権)、具体的には「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」(破産法253条1項2号)であるとしてこれを争った。

【結論】

 原告の請求を棄却。つまり、被告の主張を認め免責を認めました。

 裁判所は破産法253条1項2号の「悪意」について、故意を越えた積極的な害意をいうとしたうえで、被告の浮気行為について「本件に顕れた一切事情から窺われる共同不法行為者である原告夫の行為をも考慮すると、被告が一方的に原告夫を籠絡して原告の家庭の平穏を侵害する意図があったとまで認定することはできず、原告に対する積極的な害意があったということはできない」と判断し、原告の慰謝料請求権を免責債権であると認定しました。

 破産法253条1項2号の「悪意」は上記のような解釈をとるのが通説です。もっとも、どのような場合に「故意を越えた積極的な害意」があるのかは明確ではありません。

 本件の場合、被告は原告夫が既婚者であるということはわかっていたようです。しかも、被告の夫(本件はいわゆるダブル不倫だったようです)から注意されたことがあったにもかかわらず、被告は不貞の関係を維持していたようです。

 「被告が一方的に原告夫を籠絡して原告の家庭の平穏を侵害する意図があったとまで認定することはできず」と裁判所は認定して非免責債権には当たらないと判断しています。

 不貞の関係がどちらかの一方的な「籠絡」により発生することはなかなか無いでしょうから、当該裁判所の認定に従えば、不貞、いわゆる浮気の慰謝料のほとんどは、浮気相手に破産されてしまうことにより取れなくなってしまうことになりかねず、個人的には疑問ですが、こういったリスクがあるという意味では参考になる判決です。

2017.07.14

民法改正と未払賃金の消滅時効期間

未払残業代の消滅時効期間について、厚生労働省の労働政策審議会で見直しの議論が始まったそうです。 

http://www.asahi.com/articles/DA3S13033572.html

これまで、賃金の消滅時効期間については、民法174条1号で1年とされている(短期消滅時効)のを労働基準法115条で2年とすることにより保護していました。

ところが、民法改正により前記のような短期消滅時効の制度が廃止され、債権者が権利行使できることを知ったときから5年間か、権利を行使することができるときから10年間と統一されることになります。

となると、労働基準法115条で2年とすることは、もはや保護とはいえなくなります。

そのため、この2年という期間を維持して良いのか、ということで、頭書の見直しの議論が始まったようです。

議論の結果、改正民法と同様に賃金の消滅時効についても5年とすることになれば、未払賃金を請求する労働者側、請求を受ける使用者側のいずれにも多大な影響を与えることになります。

なお、消滅時効期間が改正により延長されたとしても、おそらくは、改正前に発生していた賃金請求権の消滅時効期間については2年のままで、遡ることはないと思われます(改正民法附則10条4項にも遡及させない旨定められています)。

2017.07.07

「多摩地域の市民活動交流会」に出席しました

 2017年7月7日に東京都多摩消費生活センターで実施された「多摩地域の市民活動交流会 〜つながりをひろげよう〜」に午前中だけですが出席させていただきました。

リレー報告として、

・調布市社会福祉協議会

・八王子市シルバーふらっと相談室舘ヶ丘

・清瀬視覚障害者グループ「あかり」

・ARCH

・学び塾「猫の足あと」

の報告を聞かせていただきました。

それぞれ、皆さんが自身の分野で地域内での連携を深める試みについて発表されており、本当に素晴らしい内容でした。

私が弁護士としてこのような試みにどうやったら貢献できるだろうか、あきる野周辺でも同じような活動をしている団体はあるのだろうかなど、いろいろなことを考えさせられ、とても刺激的でした。関係者の皆様ありがとうございました。

2017.07.04

【判例紹介】【離婚・男女】婚姻費用減額、男性が妻ではない女性との子を認知→減額を認めた事例

 平成28年2月19日決定、名古屋高裁

婚姻費用について妻と調停が成立した後、夫Aと別の女性との間に子が生まれました。その後、夫Aが子を認知したことを理由に、婚姻費用の減額を求めたのが本件です。

原審は、減額を認めるということは、夫Aの不貞行為を助長することになるのも同然として、夫の申立を認めませんでした。

しかし、名古屋高裁は結論を覆し、婚姻費用の減額を認めました。理由は、一言で言えば、その子(別の女性との子)にとっては、この夫Aこそが父であるからです。

親は子に対する扶養義務があります。本件の場合、婚姻費用の減額を認めないということは、別の女性との子に対する扶養義務を軽んじる結果となるわけですが、それを認める事は出来ないとしたわけです。

妻の視点から見ると理不尽かも知れませんが、生まれてきた子の福祉の視点から見ると、妥当な結論であると思います。もちろん、婚姻中であるにもかかわらず他の女性と関係を持ったことに関する、夫Aやお相手の女性の責任については別問題です。

2017.06.13

離婚・男女関係のご相談を多数頂いております

 平成29年4月に事務所を開設して以降、多数のご相談・お問い合わせを頂いております。

内容をみると、半数が離婚・男女関係のご相談で、あきる野市だけでなく、日の出、青梅、八王子等周辺地域において、当該分野に関する法的サービスを充実させる必要性を感じます。

当該分野の自己研鑽はもちろんのこと、ウェブサイト上での情報提供の充実も図りたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

2017.05.15

【判例紹介】【交通事故】人身傷害保険金と相手方からの賠償金の先後関係

 平成26年8月6日東京高裁 交通事故において、加害者からの賠償金支払いが先行した場合で、当該支払額が人身傷害保険の基準額を超過しているとして被害者(被保険者)の人身傷害保険金請求が棄却された事例

人身傷害保険は、自分が事故により怪我をした場合、過失割合に関係無く保険金を算出して支払ってもらえます。

他方、事故の相手方へは損害賠償請求が可能です。

自分の保険(人身傷害保険)への請求と、相手方への請求、どちらを優先するか。この先後問題は、場合によっては得られる金額の大小に影響します。

本件での保険約款では、保険金金額は基準に従って算出した額から既に支払われた額を控除した額、とされていました。そして、被害者(被保険者)の損害額は約501万であることを前提に、相手方とは約451万円で示談をし、先に相手方から同額を受領しました。

その後、差額の約50万円を人身傷害保険を利用して支払をもとめたところ、当該保険会社は算定基準により算出した額が約347万円であり、すでに被害者(被保険者)が約451万円を受け取っていることから、支払うものは無い、として拒否しました。これに対して被害者(被保険者)が前記差額の50万円の支払いを求めたのが本件です。

結論としては、東京高裁は保険約款の文言どおりとして請求を退けました。結果として得られたのは、約451万円、という結論です。

本件において、仮に先に人身傷害保険を先行して請求した場合、おそらく被害者(被保険者)は約501万円全額の支払いを受けられたと思われます。

なぜなら、先行して人身傷害保険を請求した場合、まだ被害者(被保険者)には「既に支払われた額」が無い状態(治療費等が支払われていた可能性はありますがここでは説明をわかりやすくするために省略)ですので、当該保険会社が算出した額の約347万円をまず確保できたと思われます。

そして、ここがポイントなのですが、人身傷害保険先行の場合、その後に相手へ請求できる額は、損害額満額から人身傷害保険の保険金額を控除した額とするのが現在の扱いです。

つまり、約501万-約347万=約154万を受領することができたと思われます。この場合、被害者(被保険者)が確保できた額は約501万、満額となります。

違いは人身傷害保険と相手への賠償請求、どちらを先行させたか、というだけです。なんともバランスの悪い結論ですが、約款の文言上やむを得ないといったところでしょうか。

いずれにせよ、人身傷害保険が付保されている場合には少し注意が必要、ということかもしれません。

2017.05.15

アートスポーツ破産と事業継続

 

株式会社アートスポーツが先週水曜日に破産開始決定を受けました。

私はよく御徒町本店にお世話になっていたのでたいへんショックでしたが、どうやら店舗営業は再開されているようです。

倒産速報記事

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4315.html

アートスポーツをご愛顧いただいております皆様へ

http://art-sports.jp/storelist/

破産は、支払不能等の状態になることが必要ですが、要は「もう事業をやっていけない」ということですので、事業は廃止することがほとんどです。

もっとも、事業について価値があって残す必要があるような場合には、営業を継続した上で事業を譲渡することがあります。破産開始決定前に事業を譲渡することもあります。私がかかわった事案でも、当該事業が代表個人の生活維持に必須だということで、事前に事業を譲渡したことがありました。

再開までの期間が短く、また事前に事業が譲渡しているとみられる、と記事にあることからすると、店舗は事業上とされて別の会社が運営をしている可能性があるようです。

いずれにしろ、ランニングをするようになったはじめの頃からお世話になっていたお店ですので、今後も頑張ってもらいたいと思います。

2017.05.07

強制執行が容易になるか?

裁判所が金融機関に直接照会し加害者の預金口座の差押えが容易になるような制度を民事執行法改正により創設することが法制審議会で議論されている、と日本経済新聞が報じています。

強制執行は、差し押さえる側が「●●銀行●●支店」と特定しなければならないのが現状ですが、交通事故の相手方のような、これまで関係の無い相手方のような場合、適切な特定をすることは困難です。

昨年同様の報道があった際には事件の類型による縛りはなかった記憶ですが、報道のされ方を見ると、犯罪被害者の場合など、一定のケースに限定された制度になるのかも知れません。今後が注目されます。

2017.05.01

ホームページ開設に際して

2017年4月1日から、ここ東京都あきる野市五日市にて当事務所を開設しました。

2004年10月に弁護士となってからずっと、千葉県松戸市にて業務を行ってきましたが、素晴らしいご縁に恵まれ五日市に参りました。

事務所も当ページもまだまだこれからです。みなさまどうぞよろしくお願い致します。

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