トピックス

裁判例紹介

2017.08.16

【判例紹介】【離婚・男女】浮気の慰謝料、破産したら払わなくて良い?

 平成28年3月11日東京地裁

【事実関係】

H21.8 原告と夫が結婚

H25.12 原告夫と被告が親しくなり不貞。いわゆる浮気の関係に

H27.7 被告が破産

H27.9 被告が免責許可決定(債務を支払わなくて良いとする裁判)をうける

 原告は、原告夫と被告との浮気の関係により精神的苦痛を被ったとして損害賠償請求訴訟を提起。

 被告は、浮気を争うことはしなかったが、上記免責決定により慰謝料請求権についても免責されていると主張。

 他方、原告は、原告の被告に対する慰謝料請求権は、免責されることのない債権(非免責債権)、具体的には「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」(破産法253条1項2号)であるとしてこれを争った。

【結論】

 原告の請求を棄却。つまり、被告の主張を認め免責を認めました。

 裁判所は破産法253条1項2号の「悪意」について、故意を越えた積極的な害意をいうとしたうえで、被告の浮気行為について「本件に顕れた一切事情から窺われる共同不法行為者である原告夫の行為をも考慮すると、被告が一方的に原告夫を籠絡して原告の家庭の平穏を侵害する意図があったとまで認定することはできず、原告に対する積極的な害意があったということはできない」と判断し、原告の慰謝料請求権を免責債権であると認定しました。

 破産法253条1項2号の「悪意」は上記のような解釈をとるのが通説です。もっとも、どのような場合に「故意を越えた積極的な害意」があるのかは明確ではありません。

 本件の場合、被告は原告夫が既婚者であるということはわかっていたようです。しかも、被告の夫(本件はいわゆるダブル不倫だったようです)から注意されたことがあったにもかかわらず、被告は不貞の関係を維持していたようです。

 「被告が一方的に原告夫を籠絡して原告の家庭の平穏を侵害する意図があったとまで認定することはできず」と裁判所は認定して非免責債権には当たらないと判断しています。

 不貞の関係がどちらかの一方的な「籠絡」により発生することはなかなか無いでしょうから、当該裁判所の認定に従えば、不貞、いわゆる浮気の慰謝料のほとんどは、浮気相手に破産されてしまうことにより取れなくなってしまうことになりかねず、個人的には疑問ですが、こういったリスクがあるという意味では参考になる判決です。

2017.07.04

【判例紹介】【離婚・男女】婚姻費用減額、男性が妻ではない女性との子を認知→減額を認めた事例

 平成28年2月19日決定、名古屋高裁

婚姻費用について妻と調停が成立した後、夫Aと別の女性との間に子が生まれました。その後、夫Aが子を認知したことを理由に、婚姻費用の減額を求めたのが本件です。

原審は、減額を認めるということは、夫Aの不貞行為を助長することになるのも同然として、夫の申立を認めませんでした。

しかし、名古屋高裁は結論を覆し、婚姻費用の減額を認めました。理由は、一言で言えば、その子(別の女性との子)にとっては、この夫Aこそが父であるからです。

親は子に対する扶養義務があります。本件の場合、婚姻費用の減額を認めないということは、別の女性との子に対する扶養義務を軽んじる結果となるわけですが、それを認める事は出来ないとしたわけです。

妻の視点から見ると理不尽かも知れませんが、生まれてきた子の福祉の視点から見ると、妥当な結論であると思います。もちろん、婚姻中であるにもかかわらず他の女性と関係を持ったことに関する、夫Aやお相手の女性の責任については別問題です。

2017.05.15

【判例紹介】【交通事故】人身傷害保険金と相手方からの賠償金の先後関係

 平成26年8月6日東京高裁 交通事故において、加害者からの賠償金支払いが先行した場合で、当該支払額が人身傷害保険の基準額を超過しているとして被害者(被保険者)の人身傷害保険金請求が棄却された事例

人身傷害保険は、自分が事故により怪我をした場合、過失割合に関係無く保険金を算出して支払ってもらえます。

他方、事故の相手方へは損害賠償請求が可能です。

自分の保険(人身傷害保険)への請求と、相手方への請求、どちらを優先するか。この先後問題は、場合によっては得られる金額の大小に影響します。

本件での保険約款では、保険金金額は基準に従って算出した額から既に支払われた額を控除した額、とされていました。そして、被害者(被保険者)の損害額は約501万であることを前提に、相手方とは約451万円で示談をし、先に相手方から同額を受領しました。

その後、差額の約50万円を人身傷害保険を利用して支払をもとめたところ、当該保険会社は算定基準により算出した額が約347万円であり、すでに被害者(被保険者)が約451万円を受け取っていることから、支払うものは無い、として拒否しました。これに対して被害者(被保険者)が前記差額の50万円の支払いを求めたのが本件です。

結論としては、東京高裁は保険約款の文言どおりとして請求を退けました。結果として得られたのは、約451万円、という結論です。

本件において、仮に先に人身傷害保険を先行して請求した場合、おそらく被害者(被保険者)は約501万円全額の支払いを受けられたと思われます。

なぜなら、先行して人身傷害保険を請求した場合、まだ被害者(被保険者)には「既に支払われた額」が無い状態(治療費等が支払われていた可能性はありますがここでは説明をわかりやすくするために省略)ですので、当該保険会社が算出した額の約347万円をまず確保できたと思われます。

そして、ここがポイントなのですが、人身傷害保険先行の場合、その後に相手へ請求できる額は、損害額満額から人身傷害保険の保険金額を控除した額とするのが現在の扱いです。

つまり、約501万-約347万=約154万を受領することができたと思われます。この場合、被害者(被保険者)が確保できた額は約501万、満額となります。

違いは人身傷害保険と相手への賠償請求、どちらを先行させたか、というだけです。なんともバランスの悪い結論ですが、約款の文言上やむを得ないといったところでしょうか。

いずれにせよ、人身傷害保険が付保されている場合には少し注意が必要、ということかもしれません。

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