トピックス

交通事故

2020.12.02

年末年始、万が一交通事故に遭ったら

 年末年始、万が一交通事故に遭ったら

 

 年末年始は交通事故が増える時期だそうです(今年は帰省ラッシュはないかもしれませんが)。皆様も車を運転する場合には是非ともお気を付けください。

 運悪く、事故に遭ってしまったような場合、人命優先は当然のこととして、以下の事を心がけると良いと思います。

 

1 現場の保存を意識する

 信号待ち中に追突された、というような場合を除き、相手が100パーセント悪い、ということはそれほど多くありません。過失割合に争いが生じた時のために、事故直後の状況はなるべく写真を撮るなどしておきましょう(ドライブレコーダーも動かぬ証拠として強い武器となります)。

 警察への連絡も怠らないようにしましょう。怪我をした場合は尚更です。

 たまに「全部支払うから警察には通報しないで欲しい」「違反点数がマズいので人身にはしないで欲しい」と言ってくる人がいますが、私は、応じないようにとアドバイスしています。特に怪我をした場合には、必ず人身事故として届けるよう勧めています。

 「全部支払う」といっておきながら払われなかった、ということも多々あります。また、人身事故として届け出ると刑事事件として扱われるので、現場については実況見分が行われ、しっかりした図面が作成されます(物損扱いの場合、刑事事件とはなりませんので、厳密な見分は行われず、図面もフリーハンドで書いた程度のものしか残りません)。実況見分調書の記載が過失割合の決め手となった事例は、いままでたくさんありました。

 

2 謝っても良い

 自分の方が悪かった、と思う事故であれば、素直に謝罪しておきましょう。交通事故トラブルは、事故そのものというよりも、事故後の対応が悪かったので気分を害した、ということがきっかけになることが少なくありません。謝罪をすると100%払わないといけなくなる、ということもありません。

 

3 相手から「念書」をとった方が良いか?

 「全部払いますと言った」「全部払いますという念書を取った」というケースがあります。このような念書は、効果があるかというと少々疑問です。

 私は、このようなケースで、加害者側(念書を書いてしまった側)として対応したことが何度もありますが、いずれも相手側(念書を取った側)の思い通りにはさせませんでした。無理に脅してこのような念書をとっても無効ですし、「全部」と言ってもその「全部」というのは、「相手の良いなりになる」という意味ではありません。「(法律に従って払わなければならない)全部」という意味に捉えることもできるわけです。 

 従って、相手から前記のような念書をとってもそれほど意味がありません。強いて言えば「本件は自分が追突したので過失の全ては自分にあります」とか、「駐車中の車に自分がぶつかってしまいました」というような、事故態様を記した上での過失に関する内容であれば、まだ意味はあると思います。

2017.09.20

強制執行が容易になるか?その2

 強制執行の制度について、法制審議会が中間試案をとりまとめています。

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900332.html

中間試案では、金融機関から債務者の預貯金債権に関する情報を取得する制度、債務者の給与債権に関する情報(勤務先の名称及び所在地)を取得する制度が提示されています。

前にも書きましたが、強制執行するには対象となる財産のありかを、差し押さえる側が特定しなければなりません。

夫婦関係にあった2人が離婚するにあたって、未払いの金銭回収のために給与債権を差し押さえるということは可能だとしても、個人的つながりのない、例えば交通事故のような赤の他人同士のトラブルの場合、なかなか勤務先までは判明しません。

強制執行が確実にできる、回収できるという環境作りは、裁判制度そのものの信頼性に直結します。判決では勝てるだろうけど回収は難しい、そう説明せざるを得なかった事案はこれまで多くありました。本当に何も持っていない人から取ることはできませんが(これを手元不如意の抗弁と言ったりします)、支払えるのに上手に逃れている人がいる、という事態がなるべく減ることを期待します。

2017.05.15

【判例紹介】【交通事故】人身傷害保険金と相手方からの賠償金の先後関係

 平成26年8月6日東京高裁 交通事故において、加害者からの賠償金支払いが先行した場合で、当該支払額が人身傷害保険の基準額を超過しているとして被害者(被保険者)の人身傷害保険金請求が棄却された事例

人身傷害保険は、自分が事故により怪我をした場合、過失割合に関係無く保険金を算出して支払ってもらえます。

他方、事故の相手方へは損害賠償請求が可能です。

自分の保険(人身傷害保険)への請求と、相手方への請求、どちらを優先するか。この先後問題は、場合によっては得られる金額の大小に影響します。

本件での保険約款では、保険金金額は基準に従って算出した額から既に支払われた額を控除した額、とされていました。そして、被害者(被保険者)の損害額は約501万であることを前提に、相手方とは約451万円で示談をし、先に相手方から同額を受領しました。

その後、差額の約50万円を人身傷害保険を利用して支払をもとめたところ、当該保険会社は算定基準により算出した額が約347万円であり、すでに被害者(被保険者)が約451万円を受け取っていることから、支払うものは無い、として拒否しました。これに対して被害者(被保険者)が前記差額の50万円の支払いを求めたのが本件です。

結論としては、東京高裁は保険約款の文言どおりとして請求を退けました。結果として得られたのは、約451万円、という結論です。

本件において、仮に先に人身傷害保険を先行して請求した場合、おそらく被害者(被保険者)は約501万円全額の支払いを受けられたと思われます。

なぜなら、先行して人身傷害保険を請求した場合、まだ被害者(被保険者)には「既に支払われた額」が無い状態(治療費等が支払われていた可能性はありますがここでは説明をわかりやすくするために省略)ですので、当該保険会社が算出した額の約347万円をまず確保できたと思われます。

そして、ここがポイントなのですが、人身傷害保険先行の場合、その後に相手へ請求できる額は、損害額満額から人身傷害保険の保険金額を控除した額とするのが現在の扱いです。

つまり、約501万-約347万=約154万を受領することができたと思われます。この場合、被害者(被保険者)が確保できた額は約501万、満額となります。

違いは人身傷害保険と相手への賠償請求、どちらを先行させたか、というだけです。なんともバランスの悪い結論ですが、約款の文言上やむを得ないといったところでしょうか。

いずれにせよ、人身傷害保険が付保されている場合には少し注意が必要、ということかもしれません。

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