トピックス

交通事故

2017.09.20

強制執行が容易になるか?その2

 強制執行の制度について、法制審議会が中間試案をとりまとめています。

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900332.html

中間試案では、金融機関から債務者の預貯金債権に関する情報を取得する制度、債務者の給与債権に関する情報(勤務先の名称及び所在地)を取得する制度が提示されています。

前にも書きましたが、強制執行するには対象となる財産のありかを、差し押さえる側が特定しなければなりません。

夫婦関係にあった2人が離婚するにあたって、未払いの金銭回収のために給与債権を差し押さえるということは可能だとしても、個人的つながりのない、例えば交通事故のような赤の他人同士のトラブルの場合、なかなか勤務先までは判明しません。

強制執行が確実にできる、回収できるという環境作りは、裁判制度そのものの信頼性に直結します。判決では勝てるだろうけど回収は難しい、そう説明せざるを得なかった事案はこれまで多くありました。本当に何も持っていない人から取ることはできませんが(これを手元不如意の抗弁と言ったりします)、支払えるのに上手に逃れている人がいる、という事態がなるべく減ることを期待します。

2017.05.15

【判例紹介】【交通事故】人身傷害保険金と相手方からの賠償金の先後関係

 平成26年8月6日東京高裁 交通事故において、加害者からの賠償金支払いが先行した場合で、当該支払額が人身傷害保険の基準額を超過しているとして被害者(被保険者)の人身傷害保険金請求が棄却された事例

人身傷害保険は、自分が事故により怪我をした場合、過失割合に関係無く保険金を算出して支払ってもらえます。

他方、事故の相手方へは損害賠償請求が可能です。

自分の保険(人身傷害保険)への請求と、相手方への請求、どちらを優先するか。この先後問題は、場合によっては得られる金額の大小に影響します。

本件での保険約款では、保険金金額は基準に従って算出した額から既に支払われた額を控除した額、とされていました。そして、被害者(被保険者)の損害額は約501万であることを前提に、相手方とは約451万円で示談をし、先に相手方から同額を受領しました。

その後、差額の約50万円を人身傷害保険を利用して支払をもとめたところ、当該保険会社は算定基準により算出した額が約347万円であり、すでに被害者(被保険者)が約451万円を受け取っていることから、支払うものは無い、として拒否しました。これに対して被害者(被保険者)が前記差額の50万円の支払いを求めたのが本件です。

結論としては、東京高裁は保険約款の文言どおりとして請求を退けました。結果として得られたのは、約451万円、という結論です。

本件において、仮に先に人身傷害保険を先行して請求した場合、おそらく被害者(被保険者)は約501万円全額の支払いを受けられたと思われます。

なぜなら、先行して人身傷害保険を請求した場合、まだ被害者(被保険者)には「既に支払われた額」が無い状態(治療費等が支払われていた可能性はありますがここでは説明をわかりやすくするために省略)ですので、当該保険会社が算出した額の約347万円をまず確保できたと思われます。

そして、ここがポイントなのですが、人身傷害保険先行の場合、その後に相手へ請求できる額は、損害額満額から人身傷害保険の保険金額を控除した額とするのが現在の扱いです。

つまり、約501万-約347万=約154万を受領することができたと思われます。この場合、被害者(被保険者)が確保できた額は約501万、満額となります。

違いは人身傷害保険と相手への賠償請求、どちらを先行させたか、というだけです。なんともバランスの悪い結論ですが、約款の文言上やむを得ないといったところでしょうか。

いずれにせよ、人身傷害保険が付保されている場合には少し注意が必要、ということかもしれません。

カレンダー

«5月»
     1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       

ブログ内検索

フィード

事務所案内

五日市法律事務所
〒190-0164
東京都あきる野市五日市190番地
なごみの森ビル4階

  • TEL:042-533-7112
ご相談依頼はこちら

 ブログ

この上でダブルクリックをして画像やリンクを挿入しましょう。

Copyright (C) 五日市法律事務所 All Rights Reserved.